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「おーっす」 「やふ~かがみん」 B組に来た私はこなたのボサッとした髪型が気になって言った。 「何よ、その髪…だらしないわよ」 「最近、髪の手入れ全然してないからねぇ~」 「全く…あんたそれ恥ずかしくないの?」 「うん、私はそんなの全然気にならないもん」 「だめよ。休み時間の間に私が切ってあげる!」 「えぇ!?いいよ別に…今切らなくたっていいじゃん」 「何言ってるの!そんなんじゃ一緒にいる私だって恥ずかしいわよ!」 机の上に大きな用紙を広げて、ハサミを取りだす。 「…あんた毎日自分の家で鏡見てるの?」 「うん、毎日かがみは見てるヨ」 「今何か少し気になったけど…まぁ別にいいわ」 こなたの前髪をさわって、ハサミを使って丁寧に切り始める。 なかなか手際よく進めている様って、まる美容室の店員のようじゃないかって思う。 「う~ん、ここはこんな感じでいいかな。」 「そんなの適当でいいよ」 「ここもちょっと長いわね…」 「む~」 「あと、ここは…これでよし、と」 「…」 こなたは最初はいやいやそうな顔をしていたが、次第に言葉を出さなくなり、表情が 変わらなくなる。 「ここはどうしようかな~」 一方、そんなこなたの変化を怪訝に思うこともなく、私は髪を整えていく。 頬が少し赤くなっている事、お互いの顔が近い事。それによって吐息がこなたの顔に かかっていることにも、ただ夢中で作業を進めていた私は気が付かなかった。 「…」 「ここは~…と」 「だめだよかがみ…」 「大丈夫よ、ちゃんと整えてあげるから」 表情を変えることなく続ける。 「そうじゃなくてさ…」 「安心しなさい。私結構うまいんだから」 こなたに目を合わせることもなく、続ける。 「…はずかしい…」 「何よ?」 「かがみの…かお…近い」 一瞬手が止まった。 「な、バカ!またあんたはすぐ人を惑わせるようなこと言うんだから」 そう言ってかがみは作業を再開させる。 「違うよ…他の人じゃなくてさ、かがみだから…私の胸がドキドキするんだよ…」 「へ…」 また手が止まった。 「かがみ…」 明らかにいつものこなたじゃない。顔が赤くて、目が潤んでいる。でもしっかり 私のことを見つめている。 (え?それって…まさか、こいつ、本気!?どうしよう、急にそんなこと言われたって… それに、私たち、女の子同士なのよ…) でも私、顔が赤い…と思う。はっきりと熱を持っているのが分かる。どうしよう。 もう作業を続けることができなくなってしまった。 「こ…こなた…」 こなたが私の服の袖をぎゅうっとつかむ。 「かがみ、私のこと、キライ…?」 少し下を向きながら、上目で私を見て、とても寂しそうな顔をしている。この状態で 否定なんてしたらこなたが泣き出してしまうだろう。 いや、全く否定する気なんてないけど…でも…。 …こなたは親友だ。いつも元気で、私をからかうことはあるけど、実は結構気配りも できる子なのよね。 私はそういうところも理解している。こなたのそういうところを気に入っている。 私はこなたのこと…どう思ってるのかな…?こなたがくっついてきたときは、なんだか 恥ずかしくて、ついいつも抵抗しちゃうけど…。 …でも、もしかしたら…もしかしたら…私も無意識にこなたのこと…? 「かがみぃ」 今、目の前にいる寂しげなこなたはとても可愛く見えて、愛おしくすら感じる。 私の胸が熱い。 この子の気持ちを否定することなんて私にはとてもできない 「べ、別に私はこなたのこと嫌いじゃないんだからね! わ、私…も、こなたのことは好きよ… で、でも、それが恋、なのかどうかはわからないけど、たぶん、今の…私は、あんたと、その… 同じ状態で…だ、だから、こなたの気持ちは…その、えと、えと…嬉しいは嬉しいんだけどさ…」 ああ、もう。しどろもどろだ。うまくはっきりと言葉で伝えられないのが悔しい。 こなたの表情は変わらない。寂しげなままだ。 「で、でも…もうちょっと、その…えーっと…なんて言えばいいんだろ…もっと、お互いの 気持ちを理解したい、って言うの、かな…?」 「そ、それに!わ、私はこなたがほんとに私の事好きなのなら、女同士の、その… 深い感情だって…否定はしないわよ!」 「だからさ、今は…その……」 「く、く、く…」 こなたが下を向いたまま声を出す。 「……?!」 かがみの心の中で暗雲が立ち始めた。 「くくく…ふ…ふ」 「ちょ…あんた…まさか…」 「あーっはっはっはっはっはっ!!!」 こなたが大笑いし始めた。 謀られた。まんまとこいつの計略にはまってしまったと思った。 「かっ、かがみ! すごい良かった! すごい良かったよ! やっぱりかがみは最高だね!! GJ!」 (こ、こいつっ…!!!! 殺意が涌くほど恥ずかしいわ!!) あれ。…ま、待てよ、でも私、こなたの言葉に結構同意するようなこと言ってなかったっけ…? こなたがニヤニヤ嬉しそうに言った。 「こなたの気持ちは嬉しいは嬉しいんだけどさ!」 「なっ!!!」 ただでさえ赤くなっていた顔がさらに真っ赤になった。びくっと硬直したように動きが止まる。 「お互いの気持ちを理解したいって言うのかな…?」 「あ、あぅあぅ…」 そういえばつかさとみゆきが登場していないのだが特に気にしないでほしい。 「…こなたが私の事好きなのなら、否定はしないわよ!!」 「ぎゃあああああああああ!!!!」 私は頭を抑えて、天井を向きながら悲鳴をあげた。恥辱も甚だしい。 「全く、もう!!! かがみんほど萌えさせてくれるキャラはいないよネ!! もう~~ 私萌え死にそうだヨ~!!!」 こなたも顔が真っ赤になって、萌え狂っている。 「いっ! 言うな!! 言うな!! 言うなぁっ!!!」 「かがみん、カ・ワ・イ・イ~~~~!!!」 学校中に響き渡る大声で言った。 「おんまぇ、声デカイわぁああああああっっっっっっ!!!!!」 (間違いない。私の方がデカイ。ビックリマークの数を見ても圧倒的だ。びっくりだ。) 「か・が・み・ん萌えええええええええええっっっっっっっっっ!!!!!!!!!!!!」 (さらにデカイ。12個か。すごいな。) …じゃなくて!!! 「かがみ~ん!!!」 「ぅうるさいぃっ!!!!」 こうして…もはや何を言っても説得力に欠けてしまうようになった私だが、その後も 断固として否定し続けた。 もう意地シカ残ッテマセンヨ。私ハ。 帰り道になっても、こなたはずーっと私を恥辱し続けている。ていうか萌え狂っとる。 私はあまりの恥ずかしさになすすべもなく、真っ赤な顔のままただ歩き続ける。だが 何かが爆発しそうだ。 「かがみん! かがみんてすごいよネ!! 萌えの神様だよね!! 萌えのかがみサマだよね!!」 「…」 「本気で恥じらっちゃううとこが、すんごい可愛くて、可愛くて、可愛くて!!!」 「…」 「もぉ~う私どうにかなっちゃいそうだヨ!!!」 「…」 「ね~え、かがみん!」 「…」 「かがみん…好きだあぁぁぁぁーーーーーーーっっっっっっ!!!!!!!!!!!!!!!!」 「なっ…バカぁあああああああああああああああああああああああああああああああ」 (以下省略) 声質戦力統計図(!の数による被害想定) 2…教室中に響き渡る程度。 4…陵桜学園全体 8…糟日部全域被害 12…埼玉県に甚大な被害 16…関東地方壊滅 24…日本沈没(今回の話の未収録シーン) コメントフォーム 名前 コメント GJ! -- 名無しさん (2022-12-20 20 43 59) みwwwなwwwぎwwwっwwwてwwwきwwwたwwwwwwwZEEEEEEE!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!! 24個で日本沈没なら30個でアジア滅亡ですね。 -- 名無しさん (2008-08-24 19 00 33) こなかが萌ええええっっっっっ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!! -- 名無しさん (2008-05-14 18 09 03)
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34 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:2008/02/25(月) 23 20 35 1Uv/OP2l アニ研部室 こなた「こうちゃんいるー?」 こう「あ、先輩方。どうしました」 こな「今月のコンプ無いかなと思ってさー。」 こう「ありますよ。あー、ひよりんのオリキャラですか」 こな「そうそうそう。かがみんも見て見て」 かが「・・・はー・・・オリキャラってか何と言うか・・・」 こな「まあ、私的には全然アリだけどね」 かが「こんな感じでずっとほのぼのと話が続くのなら健康的だわね」 こう「まあ、その辺はお察しで・・・。あ、このキャラの同人も一冊ありますよ、どうぞ」 こな・かが「(うっ・・・)」 ボソボソ かが「(ちょっと!覚えがある内容じゃない!)」 こな「(いやー、こんな事細かに見られてたとは・・・)」 かが「(だから学校ではやめようって言ったんでしょ!)」 こな「(えーかがみんもノリノリだったじゃーん)」 こう「アレ、不評でした?キャラのセリフとか高1が描いたわりに臨場感あると思うんスけど」 こな「いや・・・よ、よ、良くできてると思うナー」 かが「そ、そ、そうね。キャラ愛が感じられるわにゃ(噛んだ)。じゃあ、私達これで失礼するんで」 こな「あ、ありがとね、こうちゃん」 こう「いえいえ、いつでもまた来てください」 こう「…(でも学校では控えた方がいいですよ、先輩方)」 380 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 本日のレス 投稿日:2008/03/03(月) 00 36 06 4OByLZlc ほっかいどーGJ! そして真夜中の一発ネタ行きます。 「はあ?こなたファイトぉ?」 帰り道、こなたは突拍子も無い事を言い出した。まあいつものことだけど。 「そう、四年に一度世界各国のこなたが一堂に会して戦うんだよ」 「そういえば、今年はオリンピックイヤーですよね」 「こなちゃん凄いね~♪」 いや、あんたらおかしいだろその反応は。慣れたけど。 「でね、戦って戦って戦い抜いて、最後に勝ち残った一人がかがみを嫁にできるんだ」 「どこから出て来た設定だよ!」 「ちなみにあたしはネオサイタマ代表の、シャイニング・コナタなんだよ。 あたしのアホ毛が光って唸る!かがみを奪えと輝き叫ぶ!」 「はいはい」 軽い脱力感に見舞われながら、私は適当に相槌を打つ。 その時、前方に大勢のこなたが立ち塞がった。文字通りこなたがいっぱい居る、冗談抜きで。 おお神よ、ここはわたしのパラダイス? 「ふっ・・・遅かったね」 ニヤリと笑うこなた(ネオサイタマ代表)の拳に浮かぶのは毎度御馴染みカドカワの紋章。 コートとカバンが高々と宙に舞う。 「こなたファイトォーーーーー!!!レディーーーGO!!!」 戦えこなた、地球がリングだ! ・・・多分。 「俺の・・・俺のネタなのに・・・」 そして、電柱のカゲで某店長が泣いているのを私は見逃さなかった。 どうでもいいけど。 387 名前:14-586 投稿日:2008/03/03(月) 01 26 24 4EOruEYZ 380 「思いだして、こなた。 あの陵桜祭で見た境地・明鏡至粋…… 曇りのないかがみちゃんへの気持ち、性別も邪魔な常識も取っ払った、本当の気持ち……」 「本当の、気持ち……!」 大丈夫よ、別に。 こなたはもう近寄らないで。 こなたと一緒にいると、辛いのよ!だって、私…… ……こなたぁ…… 「そうだ、あの時かがみは私を拒絶した。だから私は苛立って、あやうくお父さんの罠に…… でも、別れ際の泣きそうな顔、あれは嫌いだから避けたんじゃなくて…… そっか、見えたよっ、かがみの愛のひとしずくっ」 「(ええ、それこそ正しく真の百合百合もーどですっ!!)」 「むぅっ、なんだこの気迫はっ!?今までのこなたのモノとは違う……まさかぁっ!?」 「そうだよ、女同士だからって諦めてたけど、私決めた!!」 「ぬおおおおっ、お父さんも狙っていたのに、キサマがかがみちゃんとケコーンする気かぁっ! だがつけ上がるなよこなたっ、かがみちゃんと神前で」 「ごちゃごちゃうるさいっ、しゃぁーいにんぐっ、うぃざぁーーどっ!」 「ぐぼぁっ!!なっ、こんな馬鹿なぁっ!?この俺がっ、当方腐敗マスターファーザーがっっ、 手も足も出せんなどということがあってぇぇぇ、たまるかぁあああぁぁぁっ!!」 「……諦めが悪いですよ、そう君。あなたはあなたの娘に敗れたんですっ」 ……はっ、まてよ、ということは、最後は恥ずかしい告白の後こなたとかがみんが!! きさまあっ、一体なんてものを想像させるんだあああっ!! 437 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:2008/03/03(月) 22 59 45 I97ln1Ut こねた 「私がいちばん幸せな時ってどんな時か知ってる?」 「んー限定グッズを手に入れたときとか?」 「ふふ、正解はかがみが隣にいる時だよ」 「…それじゃあ私がいちばん幸せな時も教えてあげよっか」 「どんな時?」 「こなたが私の隣にいる時よ」 459 名前:名無しさん@お腹いっぱい。投稿日:2008/03/04(火)01 22 58 x8BJHZgd じゃあ、ちょっと小ネタでも 「ねぇ、かがみん。」 「んー?何よ。」 「やっぱさぁ。」 「だから何よ。」 「かがみんのフトモモは気持ちいいね~。」 「こ、こら!なんてこと言うんだアンタは!」 「だってさぁ、気持ちいいんだもん。この柔らかさがたまんないよ。プニプにしてるしさ。」 「ほ~う、それは私の太腿に脂肪がついてるってことをいいたいのね。って、頬擦りするな!」 「照れてるかがみんの顔をこう、下から見上げるのもまた格別だね。」 「ホント発言がオヤジだな。」 「でも、照れてるかがみの顔が好きなのは本当だよ?」 「え、あ、う、、、うん。」 「あ、えっと、そのぉ、か、かがみんの膝枕が気持ちいいから、なんか眠くなっちゃったよ。」 「ネットゲームのやりすぎじゃないの?」 「最近はちゃんと寝てるよ!かがみんのひざが気持ち良過ぎるの。じゃオヤスミ。」 「はいはい。」 (あ~、ヘタレだなぁ。私って) 585 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 本日のレス 投稿日:2008/03/06(木) 19 30 21 toPp/vAV 「こなたー。 ……。 ……こーちゃん。 …………いずみん。 こな……たん? こなこな……。 私の嫁? ……こなた様。 ご主人様……」 「かがみさんや、さっきから私の写真相手になに「ひゃっほう!?」」 こなたに聞かれました。 588 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 本日のレス 投稿日:2008/03/06(木) 19 58 49 toPp/vAV 585の続き 「かがみんは私の呼び方を考えてたの? ふ~ん(ニヤニヤ)」 「な、何よ! 何か言いたい事があるならはっきりと……!」 「いやいや~、な~んにもないですよ? 未来の旦那様?」 「またあんたは人を馬鹿に……え?」 「期待してるよ?」 「え? ちょっ、待っ……えぇ?!」 「さてと、どこか遊びに行こっか?」 「こなた、今あんた私の事を……」 「ケーキバイキングでも行こうか? さあ行こ行こ~♪」 「こらっ! 待ちなさい!」 後ろから見ても耳が赤いのまるわかりよ、ばか……。 …………まぁ。 あたしも、なんだけどね……/// 654 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 本日のレス 投稿日:2008/03/07(金) 07 30 03 BvZIjsv6 「こなたー」 「どしたの、かがみ様?」 「ううん、ちょっと呼んでみただけ」 「かがみん」 「どうしたの、こなた」 「何でもないよ。 ちょっと呼んでみただけ」 チュッ 「ん……」 「急にキスしてくるなんて、どうしちゃったのさ?」 「え? ああ、こなたの頬が柔らかそうだなーって思ったら自然に、ね」 チュッ 「はむ……」 「あんただってキスして来たじゃないの」 「いや、かがみの横顔が綺麗だなーって思ったら自然と、ね」 「ふふふ……」 「えへへ……」 「夜ね」 「夜だね」 「一緒に寝よっか、夜だし」 「そうだね。 夜だし、仕方ないよね」 「じゃあ部屋まで手を繋いで行きましょ」 「うんっ」 ……。 「……お母さん達、仲良しだよね」 「お姉ちゃん、眠いよぅ……」 「相変わらず可愛いよね、我が妹よー」 「きゃっ! どこ触ってるのよ、お姉ちゃん!」 「私達も一緒に寝よっか」 「うん……」 655 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 本日のレス 投稿日:2008/03/07(金) 07 41 05 BvZIjsv6 「朝ね」 「朝だね」 「コーヒーにしましょうか、朝だし」 「そうだね。 モーニングコーヒーだね」 「砂糖はいる?」 「ううん、いいよ」 「苦いわよ?」 「かがみと一緒なら甘くなるよ」 「そっか」 「うん」 ゴク……ゴク…… 「苦いわね」 「苦いね」 「あ……」 「? どうしたの」 「コーヒーのおひげが付いてるわよ」 「え?」 ペロッ 「ん……取れた」 「あ、ありがと……」 「甘いわね」 「甘いね」 ……。 「お姉ちゃん、砂糖いる?」 「あ"ー、お母さん達見てたから甘いのは食傷気味だわ。 ブラックで貰える?」 「うん、わかった」 「……ところでさ」 「何? お姉ちゃん」 「やっぱり可愛いわよね、我が妹よー」 「お姉ちゃん、それ3回目ー」 656 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 本日のレス 投稿日:2008/03/07(金) 07 53 12 BvZIjsv6 「朝ご飯美味しいわね」 「うん。 でも……」 「何?」 「さっきからかがみん、梅干し食べ過ぎじゃない? もう7個目だよ?」 「……」 「何か隠してる?」 「実は……」 ……。 「妹、聞いた?」 「どうしたの? お姉ちゃん」 「私達に弟か妹が出来るって!」 「ホント!?」 「妹、急いでもち米買ってきて! あと小豆とゴマ塩!」 「どうするの、お姉ちゃん?」 「決まってるじゃない、お赤飯を炊くのよ!」 「ラ、ラジャー!」 「あ、ちょっと待った!」 「な、何? どうしたの?」 「可愛いわね、我が妹よー」 「それ朝から通算25回目!」 「行ってきますのチューは?」 「う……」 チュッ 「……やっぱり可愛いわねー」 「……帰ってきたら絶対仕返しするんだから」 「楽しみにしてるよ、我が妹よ」
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《邪神 かがみ(060)》 キャラクターカード 使用コスト2/発生コスト2/緑/AP20/DP30 【メイド】 相手のキャラがアプローチに参加した場合、自分の「邪神 かがみ」または【メイド】を持つキャラ1枚を活動状態にする。 [アプローチ/相手] [↴]自分の『ささみさん@がんばらない』のキャラ1枚を活動状態にする。 (ふぁ……。私の幸せお眠りタイムを邪魔した罪は重いのですよ。) ささみさん@がんばらないで登場した緑色・【メイド】を持つ邪神 かがみ。 相手キャラがアプローチした時に邪神 かがみまたは【メイド】キャラ1枚を活動状態に戻す効果、自分の『ささみさん@がんばらない』キャラ1枚を活動状態に戻す使用型テキスト効果を持つ。 2つの活動状態に戻す効果を持ち、対象とタイミングが異なる。 それぞれの効果は独立しているため、1枚で最大2枚のキャラを活動状態にできる。 どちらも相手がアプローチしないと発動できないので注意。 カードイラストは描き下ろし。 関連項目 活動状態 収録 ささみさん@がんばらない 01-060 パラレル 編集
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普段と同じ様に始まった、ある日の昼休み。 柊かがみは珍しく、自分の教室で弁当を食べていた。 「おー?柊、なんで今日はちびっ子のクラスに行かないんだ?珍しいな」 「別にいいじゃない、なんとなく、よ。なんとなく」 本当になんとなくだから仕方ないのだ。 「ふーん、じゃあ一緒に食べようぜ♪っ私机持ってくる!」 「あ、ああ…」 それにしても世話しない奴だ。昔っから一緒にいるのだがちっとも変わらないと思う。 「はあ…、もうちょっと、なんとかならないもんか…」 「ひーらぎっ!ひーらぎっ!そっち、くっつけていい?」 「あーもう、分かったから大声出すな…って、危ない!」 その瞬間 『ドガーッ』 「あーあ…」 「いたたたた」 今時机に引っかかってこけるなよ…女子高生だろ…。 「ほら、立ちなさいよ手ぇ貸すから…ってアンタ血出てるわよ!?」 ふと見ると、膝小僧をすりむいたのか血が出ている。 「大丈夫だぁって、こんなの舐めとけば…」 「ばか、小学生じゃないんだから、とりあえずそこ座んな」 「あ…」 鞄の中に確か消毒液と絆創膏があったはず、…まあこの程度の傷なら、ガーゼを当てる必要まではないだろう。 「うわー、柊、それしみるからヤだー」 「ほら、こんくらい我慢する」 とりあえず応急処置は終了。 その間ずっとしみるだの舐めるだの騒いでたみさおもすっかり大人しくなった。 「ほい、終了。…なんで涙目なのよ」 「だってしみるから…」 「はあ…もう」 座っているみさおの頭に手を乗せ、少し胸に引き寄せる。 「よしよし、良く頑張ったな。もう痛くないからな」 よしよし、と何度か頭を撫でてやる。 少し子供扱いし過ぎか。 「……」 「ん?どーしたのよ」 「柊ってさ…」 「うん」 「お母さんみたいだな」 「んなっ…///」 何を恥ずかしい事をッ…!言っておるかこのがきんちょはッ? 「そっかー、お母さんかー、うんうん♪柊はお母さんだっ♪」 「こらっ///まだ言うかっ!だ、抱きつくなっ///」 こんな所をこなた達に見られでもしたら…っ! 「やっほー!かっがみーん!」 「あ……」 「お姉ちゃんいるぅ……」 「……」 まずい…まずい沈黙が……。 「か、かがみん…それは…」 「ち、違…これは日下「百合だーーっ!!」 「なんでそーなるっ!」 「へへっー、柊はお母さんなんだなーっ」 「ちょっ、ばか!アンタも早く離れなさいよ!」 「お姉ちゃん……そうだったんだ……」 「つかさ!何が『そう』なのよ!こらっー!」 どいつもこいつもぉ! バカヤローー!! ――だけど、みさおにお母さんと言われて、悪い気もしなかったかがみんであった。 ちゃんちゃん♪ コメントフォーム 名前 コメント ↓百合姫コミックの看板作品。 -- 名無しさん (2011-04-10 23 21 34) 世間にはゆるゆりというコミックがあるのをご存知か? それに似たオーラを感じたぜww -- コメント職人U (2010-01-30 00 43 53) ゆりゆり。 -- 名無しさん (2010-01-30 00 07 55)
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そして目の前にはベビードール一枚のこなたがいた わたしもベビードール一枚で、しかも二人っきりでこなたの部屋にいた なにをいってるのかわからないと思うけど私もどうしてこうなったのか今でもわからない とりあえず聞いてほしい それは朝こなたがいつもどおり皆と通学するために現れたときのことだったのよ ああ…今思い返しても、なぜそんなことに気づいたのか分からない 「おはようかがみん、つかさー」 「(こなた…何か悩んでる)おっすこなた…?」 「(おねえちゃんの様子がおかしい)?こなちゃんおはようー」 どうせいつものようにとりとめないことで悩んでいるのだと この時はスルーしたのよ? でもこなたに感じた”悩み”(主にわずかにアンテナが下がる)が気になった私は こなたがもし昼休みになっても悩みを解決できないでいるのだったら力になりたいと思ったのだ でもこの事をこなたに直接伝えることは無いと思った 昼休み、いつものようにお弁当をもって席を立つ 不定期に一緒にご飯をしようというみさおは今日は昼休みを部活の後輩と取っている 峰岸は私を見つめるなり、がんばってねと一声残して席をたって別の友達の所へいった いつもの後ろ髪ひかれるような思いはない 風向きは私に向いている!と言い聞かせ場合によっては酷い状況を共に頑張って行くことになるかも知れない こなたたちの下へ足早に向かった 「おーっす!!」 よお柊とかこんにちわ柊ちゃんなどと声がかかる もう一つの故郷みたいな感じかもしれない そんなことをかんがえた瞬間、いつものように席にいる人間を確かめなかったことを後悔した 「かがみぃーん♪」 後ろから腰に腕をまわして抱きついてきた生徒がいた 「うひゃあああっ」 弁当を取り落とさなかったのは奇跡だ 「こっこっこなたぁあ!」 「油断大敵だよかがみん。私がその気ならかがみの(ブラジャーの)ホックを外してみせる」 「外すな!もうー…外にいたのね。本当に油断してたわ」 ため息をつきながらこなたの手をとって机へと向かった ここで怒ったところで私の目的は達成できないのだから みゆきさんとつかさがにこにこと迎えてくれた 「戻ってきたらかがみがクラスの人の声に気をとられている感じがしたからさぁ ちょっとおどかしてみたのだよー」 「弁当おとしたらどうするんだ」 「そのときは私とコロネを二人でポッキーゲームのようにだね」 「コロネゲームか、やりにくいぞそれ…」 「かがみとならチョコレートでどろどろになってもいい!むしろそんなかがみを」 「はいはい・・・」 「こなちゃんどんだけー、そういえばお姉ちゃん今朝様子おかしかったよね?どうしたのー?」 みゆきがこなたにチョコレートについて逸話を披露している間につかさが話しかけて来た 「あ、気づいた?さすが(双子の妹)というか(つかさなのに)意外というか」 「えへへぇ」 頬を赤らめるつかさ それを見たみゆきがつかさを褒めている間に、このチャンスを有効活用することにした 「こなたが悩んでいるように見えたのよ」 もう高校三年のこの時期受験生に悩みは絶えないはずだ こなたにかぎってずっとそれは無いとも思っていたけれど こなただって受験勉強になにか悩み事ができることもあるかもしれない 実は進路希望にいい加減なことを出した後に私と同じ学校にいきたいと口頭で先生に言ったのは既にわかっているのだ 散々冷やかされたから もう…こなたったら…(赤) 「全裸待機について悩んでいたのだよ」 「ブハッ」 「「ゼンラタイキ?」ですか?」 「ゆきちゃんゼンラ・タイキって有名な人の名前?」 「…うーん、私もしりませんねぇ」 「あんた全裸待機って」 わかる人とわからない人、この差が一般人とおたくを分けるというのなら私は分からない人でいたかった さっきまでの蕩けた感情がどこにいったのかわからない うぅ、蕩けてないわよ!くっ 「そのまんま、ネット用語でさ、ヲタが待ちに待ったものを待つときにする作法のことだよ」 「まぁ、じゃあ全裸で待つんですか?風邪を召されたりしないのでしょうか」 「え、ええ?ゼンラ・タイキって全裸待機??どういうことぉ」 「なんでそんな事で悩んでいるんだ」 心配です等とみゆきとつかさが顔を見合わせているのを尻目に私はこなたと向き合った 「いやね、お父さんは昔やった事があるみたいだけど、わたしはないのだよ これでもヲタを極める一人として全裸待機したいのだけど 家にはお父さんやゆーちゃんがいるからね さすがに一人じゃ違和感ありまくりだからさぁ」 「つまり全裸待機できなくて悩んでいたのか。ば・か・も・のおおお!」 こなたの肩を掴んでがくがくとゆする 「あぁぁあぁ…だからかがみを誘いたいんだよ。」 「やるかぁああ!」 「お父さんが今日いなくてチャンスなんだよ!ゆーちゃんなら見られても… よくないけれど二人ならなんとかごまか…うわああ」 そして、二人だけのパジャマパーティになった 意外に強情なこなたは下着だけ、下着とぶらだけ、とハードルを徐々に下げて食い下がったのだ 結果はぱじゃまで新番組を待ち、そして鑑賞する会である さらにそのぱじゃまは新たに購入する 正装だからとはこなたの弁 「なるべくおそろいにしようよぅ」 お母さんと連絡をとった後、途中でみゆきとつかさと別れデパートへと向かった こなたは私の右腕をぎゅっと抱きしめながら甘えてくる 「せっかくだから一緒でもいいけれど、おい、なにえらんでんだ。それはちょっと大胆すぎないか?」 微妙に透けるベビードールを手にこなたは私を見つめていた 「やっぱりかがみはスタイルいいからね、なんだかんだいってダイエット成功したんだね」 「してないわよぅ」 先日成功で油断してもどった 「だ、だいじょうぶだって!今日のこと恩にきってかがみのお母さんとつかさにダイエットメニュー教えるからさー」 「我が家の台所がもはや主に二人だけになっているのも問題よ」 本当に私はなんで料理するとことごとくだめなのか我ながら本気で将来を心配している 「かがみには私とつかさがついてるから心配いらないよ」 「つかさにはいろいろ教えてもらったんだけれどいまだにあのお弁当よ?」 交代制でつくる弁当の中身は既に知られつくしている悲しいことだ 「かがみを嫁にするのはこの私だからだよ かがみに足りないものは私が全部もってるから 心配しなくていいんだよー」 会計をすませたこなたとデパートを出てこなたの家へ向かう 私は唐突なこなたの告白に熱をもったような頬と暴走したような心臓を抱えて こんどはむしろこなたに手を引かれるようにエスコートされてしまった 「ハッ」 「お、かがみ正気にもどったね」 泉家の玄関前で正気にもどった 「あれ…?買い物は??」 「もうおわったよー♪かがみってば真っ赤になって上の空で私にきがえさせられてるんだもの ずいぶん取り乱していたよねー」 かわいかったよ♪などといいながら心を荒らす小悪魔はいつもそばにいた 「ただいまー」 「お、おじゃまします」 「あ、お姉ちゃんおかえりー」 泉家でいつものようにお泊り会そして…冒頭の内容である 「どうかな?似合う?」 「うん、かわいいわよ…」 恥ずかしくて虚勢を張ることもできない こなたの部屋でわたしとこなたは… 「かがみもよくにあってるよ、とても綺麗だよ」 新番組みるのもったいないよね録画しているしといいながら私をベッドへ導く 「あ、ちょ…ま!」 いつもより弱弱しい私をひょいと抱えあげるとべっどにのせて座って見詰め合う 「一緒にねよう、いつかきっとかがみが自慢できる私になって見せるから 全裸じゃないけど、いつか一緒になれるときを全裸待機だね」 こなたは私のために受験勉強をがんばっていた 目頭があつくなる、今はまだ恋人未満だからいつものお泊り会のように一緒に眠るだけ でも薄手の寝巻きの分だけ近寄れた気がしてこなたを抱きしめて眠る 意識が落ちるときに感じた唇の柔らかさが大切な思い出になった コメントフォーム 名前 コメント GJ!!(≧∀≦)b -- 名無しさん (2023-02-24 23 34 45) ベビードールww全裸より本気待機www -- 名無しさん (2009-07-27 12 29 12)
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「あんたさあ、私達以外にリアルの友達って居たことあるの?」 「えっ」 それまでもきゅもきゅとコロネを貪っていたこなたが、びくっとその動きを止めた。 「? ちょ、ちょっとこなた……?」 「…………」 何気ない一言のつもりだった。 飄々としたこなたのこと、どうせ何かしらのネタで返してくるに違いない…… かがみはそう思っていた。 「………うっ」 こなたが嗚咽を漏らすまでは。 「!? こ、こなた!?」 予想外の展開に、かがみは動揺した。 「……えぐっ、うっ……」 こなたは泣いていた。 小さな肩を震わせ、ぽろぽろと涙を零していた。 「あ、あっと、えっと……」 困惑し、狼狽するかがみ。 どうすればいい? 否、頭ではわかっていた。 このいたいけな少女を泣かしたのは他でもない自分なのだ。 今すぐにでも、自分は心の底から謝罪をしなければならない。 しかし、それを伝える言葉が浮かんでこない。 ごめんなさい? 悪かったわ? 冗談だったのよ? 違う、違う、違う。 そんな言葉じゃないんだ。 今眼前ですすり泣いている親友に向けるべきものは、そんな言葉じゃなくて―― 気が付くと、かがみはこなたを抱きしめていた。 「……かがみ……?」 ふと顔を上げ、きょとんとするこなた。 「…………」 かがみは何も言わず、黙ってこなたを抱きしめる。 ぎゅっと、強く。 「……かがみ……」 こなたの表情が和らいでいく。 「……ごめんね」 「ううん」 「ごめん……」 「もういいよ、かがみ」 こなたは笑った。 すっかり、涙は枯れていた。 あの頃の自分。 泣いてばかりいた自分。 そんな自分も、今度こんな風に抱きしめてやろうと、こなたは思った。 コメントフォーム 名前 コメント oh...sogood -- 名無しさん (2024-03-07 23 41 50) GJ! -- 名無しさん (2022-12-18 11 35 21) 完全なギャグかと思ったら、意外と真面目な話だったな。 -- 名無しさん (2012-11-23 10 49 44) 口を尖らせて涙をこらえるこなたを想像すると 萌え死にそう -- 名無しさん (2011-10-23 18 25 41) えと・・んと・・ -- 名無しさん (2010-01-15 22 20 38) いやいや、俺の嫁。 -- 名無しさん (2010-01-15 07 12 35) こなたは俺の嫁 -- 名無しさん (2009-12-07 19 56 20) ★★★★★ -- マヨラ (2008-10-05 02 52 30)
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ジリリリリリリリリリリリリリリリリリ バンッ 前者は私の耳元で喧しく喚き散らす目覚まし時計の音。 後者は私が目覚ましのスイッチを叩いた音。 「ん……んんっ」 もそもそと布団から手を出して目覚まし時計を見ると、7時を少し過ぎたところだった。 二度寝する気満々のつかさと違って、即布団から出て身支度を始めるのが私の普段なのだが、 「ん~~」 昨夜は遅くまでレポートを書いていたせいで、今朝の睡魔は随分と強力だった。 おまけにこの季節はまだまだ朝夕と寒い日が多く、お布団の温もりは強烈に私を誘惑し、抜け出すのは困難を極めた。 私は枕元に置いておいた大学の時間割を手にとり、今日の講義は昼からという現実を確認する。 ―ま、たまにはいいわよね。 私は布団を被り直し、再びぬくぬくのお布団に包まって夢の世界へと旅立とうとした。 ところが、 「起きろー!」 がばっ 「ひゃうっ!!!」 無情にもお布団は剥ぎ取られ、たちまち私はお布団天国から極寒の寒空へと放り出された。 「極寒って…大げさだよかがみん」 「地の文にツッコミを入れるな!だいたいなんであんたがここにいるのよ!」 「スペアキーを郵便ポストに入れておくのは考え物だよかがみん。防犯上よくないよ。一人暮らしの基本だよ」 「うるさい!それより布団、早く返しなさいよ」 せっかくの貴重な朝の時間を二度寝で過ごすと決めたのだ。 こんな防犯協会の回し者にかまっている暇などない。 「だめ。今すぐ起きて顔洗ってきて」 「はぁ?!勝手なこと言ってないで返しなさい!」 私は布団をひったくるように奪い返し、こなたに背をむけるようにして被り直す。 「ちょwwかがみぃ~」 ―ふん、無視だ無視。 ―だいたいなんでこんな朝早くにこなたが家にいるのよ。 「かがみ~起きてよぉ~」 こなたが私の身体をゆさゆさとゆするが、私は沈黙を返す。 布団の中は少し冷えてはいたが、まだ先ほどの温もりが残っていてすぐにあのぬくぬくの空間を再現できそうだった。 「ねぇ~かがみってばぁ~」 ゆさゆさ ゆさゆさ どれだけ揺らされても一向に気にしない。 再度布団を取られないようにしっかりと握り締め、放さないようにする。 これで防御は完璧だ。 「う~」 とうとうこなたは私を揺さぶるのを止め、悔しそうにため息をついた。 「むぅ~眠りについたお姫様を起こすには……コレしかないよね」 なんだ?またなにかたくらんでるのか? 私が身構えた、そのとき、 「ちゅっ」 ほっぺに柔らかくて温かい“何か”が触れた。 「っ????!!!!??!!!」 その瞬間、私は弾かれたように飛び起きた。 「わーい、かがみん起きたー」 「なっ!ななななな!!??」 「おはよー」 「なにしとんじゃー!!」 「王子様からのキ・ス☆」 「キッ!キキキキキキスって!」 「眠り姫を起こすのにキスってのはデフォだよね」 「だよねじゃねぇ!大体だれが王子様だ!」 「かがみぃ、声大きすぎるよ、隣の部屋に迷惑じゃない?」 「誰がそうさせていると思っているんだ……まったく、すっかり目が覚めちゃったじゃない」 私は盛大にため息をつきながらお布団天国に別れを告げた。 「おはよう、かがみん」 「おはよう。ところで、その格好はどうしたのよ」 よく見ると、こなたはエプロンを身につけ、片手にお玉を握っていた。 さらに台所からはなにやらいい匂いが漂ってくる。 「むふふ~裸エプロンのほうが良かったかな?」 「なワケあるか!」 「とりあえず顔洗っておいでよ。その間に準備しておくからさ」 なにか釈然としなかったが、とりあえず言われるがままに洗面所へ向かい、顔を洗って歯を磨いた。 戻ってくるとテーブルの上には美味しそうな朝食が湯気をたてて並んでいた。 「ちょっと、これ全部アンタが作ったの?!」 「そだよ~遠慮せず召し上がりたまへ~」 ほっかほかの白いご飯、焼きたての鯵、季節の野菜の浅漬け、きんぴらごぼうにほうれん草のごまよごし、極めつけは豆腐とわかめの味噌汁。 くうぅぅ~ と、空気を読まない私のお腹が目の前の光景に感動の鳴き声をあげた。 「っ!」 ぼっと顔が赤くなるのを感じ、こなたを見るといつもの猫ような口でニマニマといやらしい笑みを浮かべていた。 「くっくっくっ、遠慮はいらないよ、思う存分召し上がってくださいな♪」 私の中でプライドと食欲が対峙するが、テーブルにならんだごちそうの前にあっさりと食欲の勝利に終わった。 悔しいがこのような完璧な朝食の前ではプライドなど吹けば飛ぶような軽いものなのだ。 「……いただきます」 こう見えて案外私は料理にはうるさい。 お母さんはとても料理が上手だったし、専門学校に進学したつかさに至っては調理師の卵だ。 この私の肥えた舌を満足させることがこなたに可能かしら? ずずぅ~と味噌汁をすする。 「…………」 濃厚に香るかつおダシの風味と味噌の味が見事に調和していた。 ご飯は一粒一粒が立っていて、とてもいい香りを放っている。よほど上手く研がなければこうはいかない。水加減もバッチリだ。 きんぴらも和え物も素材を生かした薄味で、ご飯との相性も素晴らしい。 ご飯といえば浅漬けだ。 これほどご飯と合う食べ物もそうはあるまい。 気付いたらお椀のご飯がなくなっていて、こなたがしゃもじをもってスタンバイしていた。 極めつけは鯵だ。 パリッと焼けた皮の下にはふっくらと脂ののった身が!どれほど焼き加減を見切ればこれほどの絶品ができるのだろうか。 夢中になって朝食を平らげる様子を、こなたはずっと笑顔で見守っていた。 「かがみ、そんなに急がなくてもご飯は逃げないよ~」 「んぐっ!」 「あ~あ~ほら、今お茶淹れてあげるから」 差し出されたお茶で喉に詰まりかけたご飯を流し込む。 「ぷはっ!」 「まぁ美味しいと感じてくれるのは嬉しいけどさ」 「ええ美味しいわよ。こんな朝食なら毎日でも食べたいくらいよ」 「それはなにより」 「ところでこなた、なんで急に朝ごはんなんて作りにきたのよ」 「いやね、この春からかがみん一人暮らしじゃん。ちゃんと食べてるのか心配になってさ」 私は一瞬言葉に詰まった。 あまり家事が得意ではない私は、早くも自炊の大変さに音を上げ、インスタントラーメンやレトルトカレーに逃げるようになっていた。 「かがみ、今日は出発の日だよ。 新生活のスタートの時期に合わせ、忙しく乱れがちな生活もリズムを整えるために、朝食を摂ることを提案する味の素株式会社が制定した 記念日だよ。 日付は新年度のスタートの時期であり、4と8で「出発(しゅっぱつ)」と読む語呂合わせからきてるんだって」 「へぇ~それで来てくれたってわけか。なんとも押しかけ女房的な発想だな」 嬉しいけどさ。という言葉はすんでのところで飲み込んだ。 「女房とはねぇ~かがみは俺の嫁、じゃなくて私がかがみの嫁?」 「嫁とか言うな!」 「ぷくくっ、私をお嫁さんにしたら毎日ご飯作ってあげるよ」 「こ、このご飯を毎日……」 「(私よりごはんのほうが魅力的なのかねかがみんや)」 「でも、ま」 「?」 「心配してくれてありがとね」 「あ、今デレた?デレた?いいとも!毎日でも通いつめてあげるよ!まずはかがみんの胃袋を鷲づかみにしてみせよう。 これがツンデレかがみんを嫁にする第一歩……」 ない胸を張って力説するこなたを他所に、この朝ごはんが私達二人の関係の新しい出発になればいいな、と思うのだった。 「かがみんに『君の作った味噌汁を毎日飲みたい。』と言わせてみせる!」 「言わん!」 コメントフォーム 名前 コメント (≧∀≦)b -- 名無しさん (2023-10-10 12 50 27) かがみの方が飲みだい -- かがみんラブ (2012-09-18 22 49 35) 餌付けと書くと聞こえは悪いが…上手く行ってるw -- 名無しさん (2010-04-12 00 15 18) ↓激しく同意 -- 名無しさん (2010-04-11 15 17 10) 俺なら簡単に言うぞ!! -- kk (2010-04-10 22 09 10) 投票ボタン(web拍手の感覚でご利用ください)
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何気ない日々:梅雨晴れのち夕立“二人の気持ち” 「かがみは私に、あんな事絶対言わないのに・・・どうして?」 公園から駅まではそんなに距離は無かった。全力で走ったのだから、後ろにかがみの姿は無いのも当然だ。 丁度私が駅に着いたとき、バケツをひっくり返した様な土砂降りの雨。そろそろ追いついて来ても良さそうなのに、かがみが追いかけてくる様子は無い、かがみは大丈夫だろうか。まだ、呆けてあのままだったら、もうずぶ濡れになってる。心配だけど、走って戻る勇気が無かったし、傘も無いしね。駅の購買の傘なんて雨が降った瞬間に完売だから。 「私は、かがみがあんな事を言うのを望んでいなかったのかな・・・ううん、違う、望んでいたはずなのに。でもそれは映画のワンシーンの言葉としてじゃなくて、本当の気持ちで、でもそれはありえなくて・・・」 ぶつぶつと呟く私の横に座っていた男性は、それが嫌だったのか立って遠くの椅子へと向かった。どうでも良い事だった、今の私には、かがみが心配だった。心配なのに、拒絶したような行動をとってしまったことが怖くて、携帯で電話をかける事も出来ない。意気地無しすぎるよね、私。 でも、どうしても走って戻る勇気が無くて、ただ椅子に腰掛けていることしか出来なかった。頬を流れる涙にも気がついていた。けれど、恥ずかしさを感じることも無く、また拭う気にもなれなかった。 かがみが私を好きになるはずが無い、そう決め付けていた。私はそうする事でこの気持ちが親友への裏切りであったとしても許されるものだと信じていたかった。 「かがみが私を好きなはず・・・」 無いなんてどうして私は、決め付けられるのだろう。そこで、お父さんが言っていた事を思いだした。“イメージや思っていた姿、想像していた虚像と違う”つまりは、気持ちはコインの裏と表とは違って、嫌いと好きに二分するだけではないという事だ。私はかがみが好きだけど、かがみは絶対にそんな気持ちを私に抱かない。それは臆病な私が想像して願っていた姿、思い込んでいた虚像。 かがみが同じ思いを持っていてくれるかも知れないと思う事は怖くて、想像しなかった可能性。でも、それも考えてよかったんだ・・・いや、考えておかなければいけなかったんだ。あんな風に突き飛ばしてしまったんだ。かがみは、私に拒絶されたと思っただろうか、嫌われてしまったと思っただろうか。かがみが傷ついた分だけ私の心も傷ついていく様に胸が痛かった。でも、きっとそれは、かがみが受けた傷の痛みの何分の一でしかないんだ。 「かがみ・・・」 私はホームから見える雨を落とし続ける、灰色の空を見つめて呟いた。そして心の中で謝り続け、涙が溢れてしゃくり上げて泣く姿を見られていても、涙を、気持ちを抑えることは出来なかった。 ◆ 「寒い・・・わね」 このまま、凍えてしまえたらこの気持ちも凍えてくれるかしらね?そんな事を思い、馬鹿な考えだと泣きながら笑い飛ばした。きっと凍えてもこの気持ちは凍えないだろうから。 駅にはまだこなたがいる。今は何て言って冗談にすればいいのかわからない。服が濡れて体に吸い付いて気持ちが悪い。そして、胸が痛かった。 「こなた・・・」 呟いた言葉が白いもやになって消えていく。私も一緒に消えてしまいたかった・・・あれ程、思っていたじゃないか。気持ちを暴走させてはいけないって、言ってはいけない気持ちだと。なのに、私は映画のラストシーンに託けて言おうとしてしまった。そして結果がこれだ、笑うに笑えないなら、泣き笑うしかない。学校への待ち合わせ、どうしよう。一緒に登校するのはまだ許されるのだろうか、せめて友人でいたいな。 雨に打たれながらそんな事を考えていた。体温が急激に奪われていく、寒いわね。でも、どこに行く気にもなれず、公園にある、錆付いて惨めな姿になったジャングルジムに背中を預けて、両手で体を抱くようにして、立っているのがやっとだった。 見上げれば雨が目に入る。それが涙と交じり合って、私の目から零れていく。何時までこうしているつもりなのだろう。このまま、雨に打たれて溶けてしまうまでだろうか。 私は、拒絶されたんだ。でも、こなたは、嫌いだとか気持ち悪いとかそんな言葉は言わなかった。まだ、きっと間に合う。 「わかっていたのに、気持ちを表に出しちゃいけないって、私って馬鹿ね」 乾いた笑い声が、公園の中で響く。けれど、その笑い声は、誰の耳に入る前に雨音に消されていった。 少し体が冷えすぎたのか、立っているのもなんだか辛くなってきた。どうしよう・・・電車が出るのは、私の記憶に間違いがなければまだまだ先だろう。駅に行くわけにも行かず、ここに居続けるわけにもいかない・・・では、どこへ行けばいいのだろう。 「かがみ先輩!?」 どこかで聞いたことがある声。髪が水分を吸って頭が重いが、声の方へ顔を向けると、そこには、ゆたかちゃんが居た。髪と同じ色の可愛らしい傘を差して、その後ろには、髪と同じ色をした傘を差したいつもゆたかちゃんの傍らにいる・・・そう、みなみちゃんだったかしら、頭が上手く回らないわね、二人が立っていた。 「・・・どうしたんですか?」 「ちょっとね。電車に乗るなら早く駅に行った方がいいわよ?この雨だと、座るスペース所か立つスペースだって危ういと思うしね」 震える唇が喋ったにしては何時も通りの声だった。二人は、ただ私の事を見ていた。どうして、こんな所で雨に打たれているのか、どうして、自分は駅に行かないのか、その答えを探すように。 「私は、まだ駅にはちょっといけない・・・用事が・・・あってね。だから、ほ、ほ、放っておいて、大丈夫よ」 上手く言葉が出ない。雨が降る前はそんなに寒くは無かったのに、今は体の底から、心の底から凍りつくように寒い。どちらも冷え切っているみたいだから。たった一つの想いを除いては。 「・・・ゆたか、傘をかがみ先輩に」 みなみちゃんがそう言う。ゆたかちゃんの事を何時も気にかけている彼女が、そのゆたかちゃんに傘を私に差し出せというのだ。私はかなり驚いた。もっともそれを表情に出せる程の余裕は無かったけれど。それに、もう傘を差しても意味がないくらいに濡れている、だから断らなくちゃいけないわね。 「気にしなくて・・・いいのよ?身長が違うと、どちらか濡れてしまうし」 それは経験に基づいた事からの言葉だった。たった十二センチ違うだけでこなたの背中はびしょびしょになっていたのだから。 そして、今の私には、雨を凌ごうという気分でもなかったし、このまま打たれ続けていたいとさえ思う。 ゆたかちゃんの傘を受け取ろうとしない私を見るに見かねたのか、みなみちゃんは、私に自分の傘を傾けた。そんな事をしたら貴女が濡れてしまう、それに・・・私が泣いていることが知られてしまう。 私は強がりで見栄っ張りなのに、その癖本当は寂しがり屋で。泣いていることが知られてしまったら事情を話さなければならないだろう。ゆたかちゃんと違ってみなみちゃんはみゆきの知り合いという事もあって、ある意味鋭い。それはつかさやみゆきの鋭さとは違うけれど、でも、この拒絶された想いをもう誰にも知られたくなかった。だけど、もう寒さと胸の痛みで動けなくて・・・。 「どうしたんですか・・・?」 涙が頬を伝わる感触がまた戻ってきた。言いたくは無い。言わなければみなみちゃんはずっと傘を私に傾けたままかもしれない。ゆたかちゃんは、そんなみなみちゃんの事を心配そうに見ている。・・・その視線が私にも向けられているという事には気づけなかったけれど。 「なんでもないのよ」 精一杯の虚勢だった。必死に仮面を被って笑ってみせるけど流れる涙は止まらなくて、もうどうしていいのかわからなかった。 本当は叫びたかったんだと思う。それが例え八つ当たりだとしても、こなたに拒絶されたんだって、もう友人ですらいられないかも知れなくて、それが怖くて泣いているんだって・・・喚き散らしたかったのかもしれない。けれど、それは強がりで見栄っ張りな私には出来なかっただけの事。 その言葉に、聞いてはいけないのか、聞くべきなのか戸惑ってしまっているみなみちゃんは、優しい人なんだなと思う。ゆたかちゃんが言っていた以上に、優しくて気遣いの出来る人。私の好きな人も、そんな気遣いが出来るのよ?そんな事を思ってしまう。誰よりも元気でマイペースなのに、どこか、誰にも気づかれない所で気を使っているあいつ。そんな優しくて大好きな“親友”を私は、この想いで裏切って、この想いで傷つけて・・・ああ、駄目だ、お願いだから、傘をどけて。涙はもうどうしようもなく流れ続けていて、止まりそうも無くて、どうしていいのかわからないのだから。せめて、もう涙を見るのはやめて・・・お願いだから。 「本当になんでもないのよ、だから、もうしばらく・・・このままで居させてくれないかしら」 寒さなんて、もうわからない、だから唇も震えなかった。 「みなみちゃん、かがみ先輩・・・」 ゆたかちゃんは、みなみちゃんがわかり辛いが凄く戸惑った表情を浮かべているのに対して、私が涙を零しながら笑顔で放っておいてくれてという状況が上手く飲み込めずに戸惑っていた。とにかく、傘をどけて欲しかった、涙を流している姿を見られたくはなかった。 「お願いだから放っておいてっ!」 私は笑顔という仮面が剥がれた顔で、悲鳴にも近い叫び声を上げた。もう我慢の限界だったのもあるが、みなみちゃんが濡れていくのをゆたかちゃんに心配させたくなかったし、自分勝手な行動で友人の心を傷つけてしまったのに、それで涙を流しているのをゆたかちゃんからこなたに伝わるのも怖かった。傷つけた人間に泣く資格など無いというのに、私の目からは未だ涙が止まらない。もうどれくらいの時間流れているのだろう、どうして涸れてくれないのだろう。 二人はそんな取り乱した私の姿に虚をつかれたのか、目を丸く開いて固まっていた。その隙に傘を傾けているみなみちゃんの手を彼女が濡れない様に動かす。 「ゆたか~?みなみちゃ~ん、車近くまで持ってきたよ~」 聞き覚えのある元気な声。こなたがそういえば、前に元気に動き回るイメージがあるから、豹って言っていた気がする。さっきから私の考えの中心はこなたがいる。だからなのか、傷つけてしまった痛みが、傷つけてしまった事への心が零す血液が涙に変わって零れ落ちていくのだろうか。 「私は、そろそろ行くね」 そう言ってこの場から去るつもりだった。駅へ向かおうとしたのに、私の目に映ったのは砂利の混ざったむき出しの地面と水溜りで、体には衝撃が走った。それなのに、不思議と痛みはわからなくて、何が起こったのだろう、頭が上手く回らないのは寒さの所為だろうか。 「かがみ先輩!?」 「・・・大丈夫ですか?」 二人の言葉に、あぁ、私は転んだんなぁと言うことにやっと気がついた。お気に入りの服も私も泥水を浴びて泥や砂利まみれで惨めだった。それでも立ち上がる気になれなくて、今の私にはその姿が、相応しいとさえ思えてならなくて・・・。 二人は手を伸ばすべきかどうかを凄く迷っていて、私は私で起き上がれないでいると、不意に片腕を引っ張り上げられて立たされた。 「大丈夫かな?あ~あ、折角のお洒落さんが台無しになっちゃってるねぇ」 明るい声、私に言っているのだろうか。何時の間にか側に来ていたゆいさんに私は起こされたらしい。あのまま雨の中で泥のように解けてしまいたかったのに。 「すみません、ありがとうございます」 お辞儀をしようとしてふらついてしまう。寒さで色んな感覚が麻痺している気がする。それなのに、傷つけた痛みだけはズキズキと心を針で刺すような痛みを出し続けていた。 「んー、電車は行っちゃったみたいだねぇ。かがみちゃんだったねー、一緒に乗っていく?お姉さんが送って行っちゃうよー」 ゆいさんは、優しく聞いてくれる。でも、こんなにびしょ濡れで泥まみれの私が車に乗せてもらうのは申し訳ない気がする。 「かがみちゃん、遠慮することはないよ~。さぁ、おいで」 ゆいさんが手を掴む。その手はぎゅっと強く掴まれていて振り解くことが出来なかった。もっとも、ぎゅっと掴まれていなくても今の私には振り解く力は無くて。手を引かれるままに歩いた。 どうしてだろう、誰も掴まない手。それは、あの日にバスで繋いだ手、あの日にお見舞いで涙味の口付けの味を感じた時に繋いでいた手。今は、泥で汚れてしまった手・・・あの温もりも想いも何もかも、全てはあのバスの日から始まった。いや、きっとそうじゃないんだ、あの日に私は知っただけの事。一体何時、こなたに想いを馳せたのか何て理由、わかりはしない。でも、もう始まってしまった、動き始めてしまった想いを消してしまう事なんてきっと出来ない。なら、私はどうすればいいの?誰も答えはくれない。 「さぁ、乗った、乗った~。ゆたかとみなみちゃんはちょっと荷物で狭くなっちゃってるけど二人で後部座席の方にお願いするね~」 何時の間にか、ゆいさんの車の前まで連れて来られていた。空けられた助手席のドア、後部座席が狭くなっているのは、きっとここに物が積んであったからだろう。座席に座ってもよいものだろうか、泥水に濡れた服、きっと座席を汚してしまうだろう。 「シートの事は気にしなくていいから、乗った、乗った~。お姉さん、警察官だからね~。ほっとけないしさ」 半ば強引に助手席に押し込まれた。シートを汚してしまったな、そんな事しか思い浮かべられなかった。心配してくれたことを感謝するとか、そういう事を思いつけない程に私は消耗していたらしい。 「シートベルトをしてくれたまへ~。よし、じゃぁいくよ~」 私がシートベルトをしたのを確認すると、ゆいさんは車を発進させた。髪から水滴がたれてくるのか、膝の上においた手の甲が濡れている。 「何があったのかな?お姉さんでよければ相談に乗るよ~」 「友人を傷つけてしまったんです・・・」 私は、言いたくないのに言葉を口にしていた。誰かに聞いてもらいたいと思ったのかもしれないし、このゆいさんの雰囲気に口を動かしていたのかもしれない。 「きっと仲直りできるよ。そんなに泣かなくったってさ」 手の甲を濡らしているのは、どうやら私の涙らしかった。そういえば、まだ目から顎に温かい水滴が流れるのを感じる。 「そうだと良いんですけど・・・凄く傷つけちゃったから、どうしたらいいのか、わからなくて」 同性に告白されそうになるのはどんな気持ちなのだろう。しかも、信用している友人から。どれだけ、こなた、あんたは傷ついたのかな?それを考えると涙の量が増えるばかりだ。 「そういえば、今日、こなたお姉ちゃんが出掛けてたからもしかして・・・」 「・・・ゆたか」 「あ、ご、ごめんなさい」 私は言わなくていい事ばかり口にしそうだった。想いを支える堤防は決壊しかけているようで、口にしてしまう。 「そう、私はこなたに酷い事を言って傷つけちゃったのよ、ゆたかちゃん」 後は言葉にならなくて、泥に汚れた手で涙を如何にか止めようと、嗚咽をどうにか堪え様と頑張ったが、どうにもならなかった。 「こなたと喧嘩しちゃったわけだ、しかし、あのこなたが友人と喧嘩だなんて、お姉さんびっくりだ」 ゆいさんは相変わらず明るい声で言う。それが気遣いだという事には気がつけるくらいになっていた。涙が零れるほど、私の頭は冷静になっていくのに涙だけは止め処無く溢れ続ける。 「ごめんなさい、でも、止まらなくて・・・。私が悪いのに、私が泣いてちゃいけませんよね」 「かがみちゃんだけが悪かったのかな。こなたには、悪いところ無かった?」 あるはずが無い。きっと怖かったのだ、友人が言うはずの無い言葉を口にする事が。 「喧嘩って言うのは、お互い悪い所が無いと出来ないものだからねぇ」 そもそも、喧嘩というのが私の嘘だから。だから、一方的に私が悪いの、こんな気持ちを持ってしまった事が。 「本当は、喧嘩したんじゃないです。こなたに・・・友人が言っちゃいけない事を・・・」 「何をって聞いたら野暮かな?」 何時の間にか、家の近くまで来ていた。言ってしまって気味悪がられて、車から降ろされても何とか歩いて帰れるだろう。どの道、こなたから聞くことになるだろうから、私が今ここで言ってしまっても、結果は同じ事。気味悪がられるのが早いか遅いかの違いに過ぎない。 「こなたに・・・す・・・」 嗚咽で上手く喋れなかった、何とか抑える。もう誰かに聞いて欲しかった、みゆきに聞いてもらうだけじゃ足りなくて、母に聞いてもらうだけじゃ足りなくて、私の不安の海はどこまでも果てが無い程に広かった。 「こなたに好きだって・・・伝えようとしたんです。二人でみた映画のシーンの説明に託けて、告白しようなんて卑怯な真似をして、こなたを凄く傷つけてしまったんです」 車内の空気が張り詰める、当然だろう。想ってはいけない気持ち、異端視される気持ちなのだから。 「かがみちゃんは、こなたが好きなんだねぇ」 張り詰めた空気なんてなかった、ゆいさんは事も無げにそう言った。どうして、どうして受け入れられるの? 「お姉さんそう言うのは良くわからないけど、でも、それはきっと悪い事じゃないとないと思うよ」 「そうなの・・・かな・・・」 敬語を使うことも忘れて、呟くように言う。悪い事じゃないのかな、でも良い事でもないはずだ。その後は会話も無く、私の家の前で車は止まった。 シートを汚してしまったこともあり、私は母を呼んで一緒に謝罪した。謝罪した後の会話はただ聞いていただけだったが、ゆいさんは特に気にした風も無く、それじゃまたね~と明るく行ってしまった。失礼にも、その姿を私は、あまり関りたくなかったんじゃないだろうかと思ってしまった。 雨の中、家にも入らず呆然と立っているだけの私を、母は脱衣所に連れて行き、お風呂は沸くのに時間がかかるからとりあえずシャワーで温まってきなさいと告げた。私はといえば言われるがままに頷いて、シャワーを浴びた。お湯が肌に当たるたびに走る痺れる様なジンジンとした感覚、最初温かいとは感じなかった。それほどまでに冷え切っていた事に驚いたが、黙ってシャワーを浴び続けた。 温まって外に出ると着替えが用意してあり、それを着て、私は自分の部屋に向かう。中に入った所で操り人形の糸が切れてしまったかのようにフラフラとして、ベッドに座り込んだ。寝転ぶ気にはなれず、ただ座っていただけ、涙も何時の間にか止まっていた。 しばらくの沈黙の後、不意に遠慮がちなノックの音、そして、つかさが入ってきた。 「お姉ちゃん、大丈夫?」 「よく、わかんない・・・」 大丈夫と聞かれて大丈夫と答えられる状態でもなかった。心の中はグチャグチャで、想いだけが先走りそうで、また泣きそうになって・・・。 「お姉ちゃんが帰ってくる前にね、こなちゃんから電話があったの。お姉ちゃんの携帯繋がらないからって。その、さっきはごめんって伝えて欲しいって」 「こなたが謝ることなんて何にも無いのに、どうしてあいつは謝るんだろう」 私の言葉はもう、うわ言の様だ。目に映るつかさの姿でさえ夢の中の様で、ふわふわしたおかしな思考感覚だった。 「お姉ちゃんは、こなちゃんに・・・言ったの?」 つかさも知っているのか。こなたから電話があったのなら知っていてもおかしくは無いか。 「最後までは言えなかったわ。でも、もう友達でもいられないかも知れないわね。つかさにも迷惑掛けるかもしれない、ごめん」 「だ、大丈夫だよ。こなちゃんだって、その、お姉ちゃんの事、好きだって悩んでたんだから!!」 言い終わってから、つかさはしまったという顔をした。どういう事だろう、こなたが私の事を好きで、悩んでいた・・・? 「意味がわからないわよ、つかさ。私はあいつに好きと言おうとして突き飛ばされたのよ、拒絶されたのよ?それなのに、こなたがどうして私を好きなのよ」 「えっと、それはその、あの、お姉ちゃんがこなちゃんを好きなのも私知ってて、あの、うーんと・・・」 言葉を探しているつかさに立ち上がって肩を持って、問いただしたかったが。肩を持った所でどういう言葉を言えばいいのかが、わからなくなってしまった。 「あのね、だから、お姉ちゃん・・・と、とにかく大丈夫なんだよ」 「意味がわからないわよ」 疲れていた所為だろうか、急に体から力が抜けて、転びそうになったのを何とか堪え様として、結局つかさを押し倒す形でベッドに倒れた。 「ごめん、すぐ退くから」 そうは言ったものの体に力が入らない、何だか凄く疲れてしまって、動く事が出来ない。涙が出てきた、まだ仲直りの出来る可能性に、拒絶されてはいないかもしれない可能性に。 「お姉ちゃん、たまには私を頼ってよ。頼りないかもしれないけど、頑張って力になるから!」 「じゃあ、少しだけお姉ちゃんをやめてもいい?」 「えと、うーんと、それは困る・・・かなぁ」 「ほんの少しだけ・・・いいかな?」 「ほんの少しだけならいいよ」 つかさの胸に顔を押し付けるようにして泣いた。声を上げて、感情をさらけ出して、それは姉としての強さを外す事だから。 そんな泣きじゃくる私の頭をつかさは優しく撫で続けていてくれた。 ◆ どうやって家に帰ってきたのか良く覚えてない。けれど、家に着いてすぐにかがみに謝ろうと思って携帯にかけたが、繋がらなかった。直接の方がいいと思ったけど、拗れる前に謝っておきたかったから、つかさにメールを送る事にした。 「イメージと現実かぁ」 電話を終えて呟く。かがみが私を好きになるなんてありえないと思った。でも、どうやら現実は違うらしかった・・・確信は持てないがあの時の私が突き飛ばしてしまった、かがみの反応を思い出すともしかすると、あの言葉は本当の気持ちだったんじゃないのかという可能性もあるかな、なんて思い始めていた。 「でも、かがみはあんな事思わないし、そんな事言わないはずなのに」 私は冷えた体を温めようとコーヒーでも飲もうと思い、そんな事を呟きながら居間に入った。テーブルには、曖昧な表情をしたお父さんがいた、私の独り言は聞こえていたらしい。 「絶対そうだって事は無かっただろう?」 「でも、かがみがあんな事を言うなんて思わなかったし、そんな可能性無いと思ってたよ」 「それで、こなたはどうしたんだ?」 「かがみを突き飛ばして逃げただけ・・・」 「そうか。しかし、こなたとしては、かがみちゃんが好きなんだろ?お父さんは、認めていないわけじゃぁないし、同じ気持ち同士で良かったじゃないか、どうして突き飛ばしてしまったんだ?」 「わかんない・・・でも、かがみがあのまま、雨に打たれていたらどうしよう」 かがみがあのまま、傷ついたまま、あの場所にいたらどうしよう。今からでも戻るべきなのだろうか・・・わからない。 「そういえば、偶然ゆい達が、かがみちゃんにあったらしくて、かがみちゃんを送ってくれてるらしい電話があったな」 「そっか、ゆい姉さんが・・・良かった」 心から良かったと思う。あのまま、かがみが雨に打たれていたらと思うだけで胸が締め付けられる気分だった。それだけ好きなのに、私は・・・かがみを突き飛ばして逃げたのだ。 卑怯じゃないだろうか、いくら信じられなかった事で取り乱していたとはいえあれでは、拒絶されたと思う以外には無いのだから。 まぁ、座ったらどうだ、こなた。そう告げられ、私の前には湯気を立てて入る熱めのコーヒー。座って一口飲むと、また思っていたのと味が違った。朝飲んだコーヒーとは明らかに違う、いや・・・これは何時ものインスタントコーヒーの味だ。 「味が戻っただろ。実は朝の分はな、こなたが飲んだので丁度最後だったんだよ。で、あのメーカーを飲んでいる近所の人が同じ福引で、うちがいつも買っているメーカーのインスタントコーヒーを貰ったたらしくてなぁ、その人はお父さんが、自分が買っているインスタントメーカーのコーヒーを福引で当てたのを見てたらしくてだ。電話をくれて、交換する事になったんだよ」 「でも、何か変な感じだネ。朝と味が違うだけなのに、元の味に戻っただけなのに、逆に変な違和感を感じるよ、まぁ、飲みなれてるからいいけどさ」 二口目には、さっきの違和感が嘘の様に無くなっていた。違和感・・・かぁ。かがみが私の耳元で愛の言葉を囁く・・・そういうシチュエーションが既に違和感だらけで信じられなかった。 「こなた、今朝のイメージと現実の話なんだが・・・」 「うん」 「イメージはイメージでしかないと思うんだ。現実とは違う、まぁ、そこはオタクとして生きてきた中で学びとっていると思うが・・・これをかなたが聞いたら激怒するに違いないな。と、話が逸れたな。つまりだ、こなたにとってかがみちゃんは女の子を好きにはなったりしない、ましてや自分に対してそんなことはありえない、というイメージがあったんだよな?」 「そうだよ。かがみは私なんか好きになったりしない、そんなことありえないって思ってた」 でも、そうじゃなかったらって考えられていたら今日の事を受け入れられていたのかな。わからない・・・いや、たぶん、そうじゃなかったら何て、思えていてもきっと受け入れられなかった。きっとかがみは決意を、私のような弱い決意じゃない、もっと強い決意を固めていたのかも知れない。 「かがみは、きっと勇気を振り絞ったんだよね・・・それを私は踏みにじった」 「いや、そうとも限らないぞ。かがみちゃんが今日、本当にそういう事を話すつもりだったかどうかは、かがみちゃんにしかわからないんだ。そこが既にイメージになってしまうんだよ。予測とも言えなくは無いが、恋愛感情となるとそこはその場の勢いもあるからな」 確かに、あの時に私があの映画のラストシーンの事を聞かなければ、かがみは口にしなかったかもしれない。それは、お父さんの言う通り、かがみにしかわからないけどさ。 「私はどうしたらいいかな?」 「そうだな、よく考える事じゃないかな。かがみちゃんは今日突き飛ばされて、拒絶されたと思ったはずだ。きっと、こなたを傷つけてしまったと酷く落ち込んでいるに違いない。ゆいの話だと、あまりにも目が虚ろだったから、警官として放っておけないと言ってたからなぁ」 どうして、私を傷つけたと思ってしまったんだろう。悪いのはわたしなのに、かがみじゃないのに・・・どうして? お父さんは私の表情から心のうちを読み取ったのか言葉を続ける。 「かがみちゃんも、こなたと一緒で、絶対にそんな気持ちを抱かないと思っていたからじゃないかな。前に遊びに来たことがあったときに感じた事なんだが、しっかりしているけれど芯が少し弱い子なんじゃないか?かがみちゃんは」 どうだろう。つかさを守って生きてきたのだから、強いんじゃないかな・・・でも寂しがり屋で強がりだから・・・本当は脆く弱いのかもしれない。それは、私も同じようなものだけど。 「お父さんはさぁ、どうして変だとか思わないの?私の気持ちとか・・・」 「ま、お父さんとしてはだな、こなたが幸せならそれでもいいんじゃないかと思っただけだが・・・」 冷めたコーヒーを一口飲んでから続ける。 「普通に恋愛して、普通に結婚したほうが無論幸せになれる確率は高いだろうな。世間からは冷たい目で見られるわけだし・・・でもなぁ、こなたには強い味方がいたろう?つかさちゃんってさ。普通は姉に想いを寄せている、それがたとえ友人であっても同性愛に関して味方になるって決意を固めるのは簡単な事じゃ無いと思うんだよ。だから、つかさちゃんをみて、あえて反対する気は無くなったんだがなぁ」 「そんな事で決めちゃっていいの?」 「いや、それはかなり大きい事だと思うからなぁ」 私も冷めたコーヒーを飲む、するとカップは空になった。つかさは、かがみと双子で、私と親友で、味方だけど・・・どうしてつかさは味方になるって言い切れたんだろう。そして、かがみには味方はいるのだろうか。 「お父さん。私、部屋に戻るね」 「まぁ、よく考えるんだぞ」 よく考えるか・・・どうすればいいのかわからない事だらけだ。 部屋に戻って、首にかがみがつけてくれたチョーカーを指でなぞる。金属のひんやりとしたハートの感触。 「かがみ、ごめん・・・ごめんなさい」 その声はもう、かがみには届かない。お互いに傷つけてしまったと思い込んで涙する。何だ、わたしとかがみはどこまでも同じ道を歩いていた事に気がつかなかっただけなんだ。 だからこそ、決めなくてはいけないと思うんだ。かがみと世間の茨道を歩くのか、この想いを封印してかがみの心を傷つけてでも、違う相手を見つけてもらうか。 ―選ばなくちゃいけないんだ。 私はもう一度チョーカーについた金属のハートをなぞる。かがみがつけてくれる時、こんな可愛いものは私には、似合わないと思った。けれど今ははずす気になれない。考えが纏まるまでは着けていよう、そう思いつつ、バルーンニット帽を乱暴に脱ぎ捨て、ベッドに倒れこんだ。 何気ない日々:想い流るる前日“互いに違う答え”へ コメントフォーム 名前 コメント 投票ボタン(web拍手の感覚でご利用ください)
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・・・・・埼玉県久喜市に住んでおります、柊かがみと申します。 実家が神社である私がこちらで願うのも変な話ですが、 実家では少々願いにくい事ですので、こちらで願わせて頂きます。 ―――今年こそは、つかさ並みの隠れ天然が治りますように! 偶にやらかす天然ネタで、こなたに弄られるのは正直嫌なんです!! しかも新年早々、『柚子』の事を『カサカサのみかん』と言って、 つかさ含む家族一同から白い目で見られたばかりなのです。 『wishes』 そんな恥ずかしくて実家では願う事が出来ない願いをし、神社の拝殿を後にする。 正月三が日が過ぎた、大学の冬休みのある日。 私はこなたと一緒に神田明神へ初詣に来ている。 ちなみにここの初詣に誘ってきたのはこなたからだ。こなた曰く 『アキバに歩いて行けるから、アキバへの買い物に便利なのだよ~』 だそうで、初詣と趣味の買い物、そして私とのデートを一緒にこなしたいという、 ホントにものぐさなアイツらしい案だ。 3が日の家の手伝いが終わり予定が空いていることと、やっぱりあいつと一緒にいたいという思いから、 こなたの思惑に乗るのは正直癪にさわるけれどOKの返事をした。 するとこなたから『合点承知の助~』とずいぶんと気の抜けた返事をされ、やっぱりやめたろかと考えたが、 断ることをせずに今日こうして来ることと相成った。 少々お祈りが長かっただろうか、隣にいたはずのこなたがいない。 一体何処に行ってしまったのだろうか? そう思い周囲を見渡すと、数メートル先に特徴的なアホ毛のある、見慣れた後姿を見つけた。 アイツ私のお祈りが長いからって、先に行かなくてもいいじゃないか。 そんなに自分の買い物が大事か~?まったく、そんなやつは・・・エイッ!! 「こ~なた(がしっと抱きつく)。お待たせ~。」 「きゃっ、あなた誰ですが?」 「え・・・。」 あれ?もしかして人違い? 「かがみ・・・私、ずっとかがみのそばにいたんだけど。」 「え、間違えました!ごめんなさい!!」 「いえ、いいですよ。」 こなたと間違えた女子中学生と思わしき女の子は、わずかに引きつつもそう私に返し、その場を去って行った。 「まさか、正月一発目からかがみの天然ボケを拝めるとは、今年は良い予感するな~。 これで、実は『今年こそ偶に出る天然が直りますように』って願った後だったら尚良い。」 「うっ‥‥。」 「かがみ~ここは、『そんな訳ないでしょ』って返すとこだよ~どうしたの?」 あまりに的確過ぎるこなたの指摘に驚いた私は、 言葉を発することが出来ず、ボフッと顔を真っ赤にさせる。 「え、まさかのまさか~(ニマー)。」 ぐ、恋愛感情から付き合っている今でも一瞬で好感度がマイナスまで落ちる、ニマニマした表情を向けてきた。 ここで顔を真っ赤にさせて反論しても、いいように弄られるだけだ。まずはお茶を飲んで落ち着こう。 「かがみ~天然直りますようにって言っている傍から、 フタしたままペットボトルのお茶を飲もうとしているよ~(ニマニマ)。」 ‥‥‥‥‥ 「(すごくにこやかに)そんなのフタ取れば良いだけじゃないのー。 ソンナコトヨリ、ハヤクイコー。」 私、割と本気でアップアップなの。こんなときは暖かい目で見守ってね、こなた。 そんな思いを胸に、作り笑顔をしたまま秋葉原方面へ歩を進めた。 「うわ~、ごまかそうとしている作り笑顔がすごいよかがみん・・・ホントに逞しくなったなあ~。」 神田明神通りからこなたがお目当ての店が密集している中央通りへと歩いてゆく。 途中昼ごはんをとる為、こなたお勧めの老舗パスタ店へと入る。店内に入るとこなたから 「かがみんの為に、ガッツリ食べられる大盛りが人気のパスタ専門店を選んだよ~。」 等と言われた。 「うっさい黙れ!」 「でも、大盛りを頼むんだね、かがみん。」 「い、いいでしょ。変更料金安いんだし。」 「かがみ、盛り頼もうとしてるけどさ。」 「何よ。」 「私、メニューに載ってる写真よりも少ない量で、お腹一杯になっちゃうんだよね。」 「それは私に対しての嫌味か?」 「だから私の分のカルボナーラ少しあげるよ。そうすれば大盛りにする必要ないよ。」 「・・・だったら、私の分のずわいガニのトマトソース分けてあげる。私だけもらうのもなんか悪いし。」 「わ~い。かがみと分け合いっこ♪」 こんなちょっとした気遣いが嬉しく、神田明神で下がった好感度はプラスへと戻った。 あとこなたが『わ~い。かがみと分け合いっこ♪』といったときの仕草がとてもかわいらしく、 不覚にもときめいてしまったことは内緒だ。 食事が終わった後そのまま中央通りへと向かい、 こなたがお目当てのアニメショップや同人ショップ、PCショップを巡っていった。 「あ~、やっぱりガンダムカフェはいつ行っても行列で来てるね~。」 「そうね。」 「(かがみの方へチラチラ見ながら)やっぱり、休憩だったら向こうの方が良かったな~。」 「こなた、今日はあんたの買い物メインになっちゃってるんだから、 休憩場所ぐらい私の希望を通してもいいんじゃない?」 私達は今、休憩と称してガンダムカフェを見下ろせる位置にあるヴィクトリアンパブにいる。 店内は英国風の作りとなっておりとても上品で、落ち着いてじっくりと話し合ったり、 一人で飲みに来てもゆったりと出来る雰囲気を醸し出しており、 秋葉原に来るたびに一度は入ってみたいと思っていた。 高いフロアにあるわけではないが、秋葉原駅前の再開発エリア(青果市場跡)の広場 を見下ろす事が出来、行き交うヒトやひっきりなしに発着する電車を眺めることが出来た。 「む~・・・・・・ところでさ、かがみん。神田明神でお願いしていたお願い事の内容なんだけど、 どうして『天然ボケ直りますように』ってお願いしちゃったわけ?」 「う、それは・・・」 かなり弄られるのが分かっているのであまり言いたくないが、ここまできたら仕方が無い。 渋々願うことになった理由をこなたに説明した。 「へ~新年早々そんなことがあったんだ~(ニマニマ)。 見た目で分かりにくかったら、匂いで判別すればいいことなのに出来なかったから、 すごくショックだったんだね~、かがみんはホントかわゆいね~。」 「うるさい。かわいい言うな。」 案の定、新しいおもちゃを手に入れたこどものようにはしゃぐこなた。 「まあそんなかがみもかわいいんだけど、それよりもつかさの声真似がうまかったことに驚いたよ。 かがみとつかさって見た目も性格も違うから、絶対大して付き合いたくない男の子からかがみ宛てに 誘いの電話がかかって来ても、つかさの声真似で『ごめんね~お姉ちゃん今出掛けているんだ~。』 と言う風に出来ないと思っていたよ。」 「なんじゃそりゃ?別にそんな事しないわよ、私は。」 「あと今やっていた親指と小指を立てて行う電話のジェスチャー、決してドラゴンボールの孫悟空を 耳に近付けるってボケじゃないから。」 「そんな発想誰もしないから。ちなみにそれは何かのネタか?」 「こうすると(親指と小指を立てる)孫悟空だけど、こうすると(手をグーにする)クリリン。」 「くだらねえよ。」 こうして上品なヴィクトリアンパブでの、騒々しい午後のティータイムは過ぎて行った。 再びこなたの買い物に付き合い、時刻は午後7時過ぎへと回った。 そして晩御飯として中央改札口にあるテナントビル内の和風ダイニングへ入る。 「『たこわさび、漬物盛り合わせ、軟骨から上げ、お肉屋さんコロッケと生ください。』って 頼んだ訳なんだけど。この注文を組みかえるとさ。」 「何?」 「漬物のから揚げ。」 「食べたくない。」 「生コロッケ。」 「ただのじゃがいもじゃないの。」 「わさび盛り合わせ。」 「嫌がらせか?」 「とまあ、かがみが作った料理となるから不思議だよね?」 「ならねえよ。残りの組みかえられてないのはどうしたのよ。」 「・・・あとは産業廃棄物と化しました。」 「ふざけるな、どんだけ私の料理下手をいじくり倒す気だ!」 和食ダイニングで食事した後、時間も時間だから帰ろうかと思ったところ、 「かがみん諦めなって、もう終電ないんだから~。」 「嘘、マジで?ってこの時間だったら、まだあるじゃない。」 「2次会カラオケ用意してるから朝まで付き合ってよ~。大学の冬休みまだあるでしょ。」 「『2次会カラオケ用意してる』ってお前はどこの宴会の幹事だ!う~んそうね・・・いいわよ、折角だし。」 「やったー、こういう時のかがみって本当に付き合いいいよね。」 と言う流れで、このままオールで遊ぶこととなった。 カラオケではお互いに遠慮することなくアニソン、J-pop問わず 各々好きな曲を入れ、好きなように歌い盛り上げ、大いに楽しんだ。 いよいよ終電が無くなった頃、こなたから『実は今日ホテル予約しているんだ』と言われ、 こなたが予約している、秋葉原駅に隣接している高層のホテルへと行く。 このあいだのクリスマスデートの際に、クリスマスイブ前の予約状況が例年と比べ それほど入っていないという情報を信じ、こなたをホテルへと誘ったが、回ったホテルはすべて満室で 泊まることが出来ず、なんとも言えない寂しさとわびしさを感じながら電車で帰って行った。 ホテルに行くということで、そんな私が強引に引き込んだにもかかわらず、 見事グダグダな結果になったこのあいだのクリスマスデートを思い出し、少しだけ気落ちをする。 そうしてホテルへ着き、12階へと昇り、白にビビッドな赤をきかせた内装のシングルルームへと入る。 寝室と部屋の入口側にあるシャワールームを仕切るのがガラスパーティションなのに驚きつつも、 こなた、私の順でシャワーを浴びた。 シャワーを浴び、濡れた髪をタオルで乾かしながらベッドのところへ行くと 先にあがっていたこなたが、部屋に置かれているマッサージチェアに座り、おっさんのマネをした 子供のように『あ~極楽、極楽』とうわごとのようにつぶやいていた。 こいつにとって普段通りの行動の為、多少呆れつつもわざわざ構うことなく私は自分の髪を乾かすことを続ける。 しばらくしてマッサージチェアに満足したこなたが、ダブルベッドに座る私のそばに座って来た。 「あのさ、かがみ・・・・・この間のクリスマスデートの続き、しよ。」 「え?」 「前のデートの時さ結局ホテルに行けず、最後かがみが我慢しきれず駅のホームで 抱きしめてキスしただけじゃん。」 「そういえばそうだったね‥‥あの時はごめんね、強引に引きずりまわしちゃって。」 そう言って、私はうつむく。 そんな私に対し、こなたはそっと微笑みながら私の手に重ねてきて 優しく語りかける。 「別に気にしなくてもいいのに。本当にかがみは律義で真面目だよね ・・・でもかがみのそういうとこ、すごく大好きだよ。」 「こなた・・・。」 「実はね、今年の初詣願い事『これからもかがみのそばで、過ごしていきたい』なんだ。 はっきり言って自分でもストレート過ぎて恥ずかしいんだけど、偽りの無い気持ちなんだ。 だからさ、これからも一緒に過ごしてゆきたいんだ。だから全然気にしてないよ。」 こなたの柔らかく、けどはっきりと語りかけるように伝える優しい言葉と、 重ねてきている手から伝わるぬくもりが、温かく幸せな気持にさせる。 「ありがとう、こなた。私もねそういつもそう願っているわよ。わざわざ初詣で祈る必要がないくらいにね。 なんかこういう言い方って恥ずかしいんだけど、『君の夢が、私の夢』って感じですごくうれしいな。」 互いに恥ずかしいセリフを相手に伝えつつ、笑いあう。 そしてバスローブ姿のこなたに抱きしめられ、甘ったるいような優しいような匂いに包まれた。 「かがみ、好きだよ。」 「私も愛しているわよ、こなた。」 こうして私達は部屋の灯りを落とし、 私の部屋のベッドよりも弾力性があって、寝心地のよいベッドに入っていった。 コメントフォーム 名前 コメント 続き見せて〜♪ -- かがみんラブ (2012-09-16 23 05 16) 続き来たョこれ。 いやいや、やはり前回?は二人とも満室攻撃で撃沈してたのですね。 オイラにも経験ありますが、その分今回は萌・・・じゃない、燃えますなお二人さん。 GJ!! -- kk (2011-01-11 23 00 06) 投票ボタン(web拍手の感覚でご利用ください)
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お読みの際は以下をご留意下さい。 当SSはこなた、かがみ達3年生組の陵桜学園卒業後を舞台としています 今作に限らず、冒頭に特別な付記がない限り、拙作は一つの時間軸を辿ってゆきます(ゆく予定です) その為、未確認の設定やオリキャラ等の由来が気にかかった際は、まず前作かそれ以前の流れをご確認下さい それぞれのキャラクターの全体像に“自己流解釈”が掛かっており、それによるキャラ崩壊が著しいものです 全体的に堅苦しく、専門用語を(やや)伴う文体で書かれています 誤字・脱字や文章表現の見直しに、抜け・漏れが含まれている場合があります 相変わらず長ったらしくなってしまいましたが、お時間の許す方はどうぞお付き合い下さい。 今作はとある洋楽をモチーフに製作されています。 その歌詞と曲調は今作内で前提的に扱われている為、内容を事前に把握して頂けると 各キャラの語調や展開する世界観等の組成が幾分か判り易くなる… 筈です。 以降のタイトルをご存じない方は、歌詞の意味も含めて以下のURLをご参照下さい。 ttp //goldenblue.blog72.fc2.com/blog-entry-20.html ここは私とは何の関係もございませんが、歌詞を自己流に和訳する際最も参照となったHPです。 管理者のgoldenblue様に、この場で深く御礼と非礼を(お詫び)申し上げます。 「Me and Bobby McGee」 その1 「Me and Bobby McGee」 その2 「Me and Bobby McGee」 その3 「Me and Bobby McGee」 その4 名前 コメント